History
日本茶の歴史と現状
日本茶は遣唐使を通じて奈良時代に中国から伝来して現在まで飲まれ続けている飲料です。
平安時代から現在までどのように発展したのでしょうか。公家や貴族が嗜む高貴な嗜好品から侘寂や禅などの精神性とともに成長し、江戸の商人や海外輸出で産業化し、現代まで紡がれてきた日本茶の歴史。現代社会ではどのように人々に愛され、次の時代へ紡いでいくのだろうか。

Tradition of Japanese tea
日本茶の伝来
鎌倉時代の初期。栄西禅師が宋から帰国し、その際に茶の種子を持ち帰り、現在の福岡県で茶の栽培を始めたのが日本茶栽培の起源と言われています。
また、栄西は抹茶法を持ち帰り、京都や鎌倉でも日本茶を広めるなど日本茶の歴史にとって大きな貢献をしました。

Origins of Japanese Tea Cultivation
日本茶栽培の起源
鎌倉時代の初期。栄西禅師が宋から帰国し、その際に茶の種子を持ち帰り、現在の福岡県で茶の栽培を始めたのが日本茶栽培の起源と言われています。また、栄西は抹茶法を持ち帰り、京都や鎌倉でも日本茶を広めるなど日本茶の歴史にとって大きな貢献をしました。

tea culture
喫茶の広まり
栄西禅師が抹茶法をもたらし、寺院で修行中の眠気覚ましとして愛飲された日本茶は、鎌倉時代末期になると、貴族や武士などにも飲まれるようになりました。
「会所の茶」と呼ばれる、お茶を飲みながら、絵画の鑑賞や和歌を読んだりする社交の場を通じて、喫茶の習慣が広まりました。

Toucha
闘茶(とうちゃ)
「会所の茶」が鎌倉末期〜室町初期には闘茶と呼ばれる、お茶の産地や種類を飲み比べて当てる日本の伝統的な遊びに発展していきます。
次第に闘茶は遊興化し、賭け事として行われるようになり、1336年には足利尊氏によって禁止令が出されました。

Wabicha
侘び茶(わびちゃ)
室町時代には侘び茶の始祖である村田珠光(むらたじゅこう)が「草庵の茶」を始めました。珠光は日本茶に禅の精神性を取り入れ、それまでの唐物や絵画、闘茶などの趣向を反映させた豪華な茶会とは対照的な簡素な「四畳半の茶の湯」を完成させました。
その後、武野紹鴎(たけのじょうおう)が珠光の精神を引き継ぎ、「草庵の茶」をさらに簡素化し、「侘び茶」として発展させました。紹鴎が体系化した侘び茶は「日常から離れた憩いの場」として受け入れられていきました。
そして安土桃山時代には珠光・紹鴎の思いを引き継いだ千利休が侘び茶を完成させました。

Sen no Rikyu
千利休
珠光が原型を確立し、紹鴎が発展させた侘び茶の世界。それを大成させたのが千利休です。織田信長の茶頭として仕え、信長の死後は豊臣秀吉の茶頭として仕え、戦国時代の武将を支えた一人でした。この時の茶の湯は権力者によって政治にも利用されていました。
千利休が目指した高い侘び茶の精神性は、その後も受け継がれ、茶道として現代に受け継がれています。

Industrialization
茶産業の成長
室町時代から日本茶の生産量が増加し、庶民などにも広くお茶が普及していきました。
江戸時代は城下町の発展に伴い、都市部でのお茶の需要が急増し、特に江戸は一大消費地として全国から日本茶が集められ、これらの需要に呼応するように全国で日本茶の栽培地が拡大していきました。
そして、江戸時代では商人たちが日本茶の流通網を発展させ、茶問屋を通じて庶民にも販売されるようになりました。

Modernaization
茶産業の近代化
商人などによって発展した茶産業は江戸時代末期には長崎を通じて海外へ輸出されるようになっていきました。そして明治時代、ペリー来航を契機に日本が開国すると、アメリカやヨーロッパ諸国への輸出が本格化しました。明治初期には日本における輸出総額の20%をお茶が占めるようになりました。

The peak of tea industry
茶産業の最盛期
日本における茶産業の最盛期は、昭和時代、主に戦後の復興期から高度経済成長期にかけてでした。敗戦後、アメリカの援助物資の見返りとして茶が選択されるなど、海外への日本茶の輸出が急増し、国内においても高度経済成長下により緑茶消費量が増加し、国内外ともに大きく成長しました。
この頃には茶産業における機械化や有料品種の育成なども進み、生産性が向上しました。

Current Japanese Green Tea
現代の茶産業
現在の茶産業は生産者の高齢化や新規就農者の減少によって、栽培面積や生産量も年々減少しています。一方で、海外でのGreen Teaブームは底堅く、輸出需要は非常に高い現状です。
国内市場に目を向けると、平成の時代にはペットボトルでお茶が飲める茶系飲料が登場し、手軽で飲める茶系飲料が一気に普及してきました。令和時代の現在でもコンビニなどでも茶系飲料は飲料売場の一角を占めています。
Future
茶紡が目指す日本茶の未来
茶紡が目指す日本茶の未来は、手軽さやタイムパフォーマンスが重視される日本の中に、一手間をかけて自分のゆとり時間を作るひとつの選択肢として、お茶文化が定着することです。日常生活の中で仕事や勉強の際にチェーン店のコーヒーを愛飲する方も多いですが、その中に日本茶という選択肢が増える。そんな未来です。

つくりたいのは古きよき「縁側で家族や友人と日本茶を一服しながら団欒する」そんな景色。
日常にふと落ち着く瞬間を日本茶をお供に過ごす。古くから日本人に根付いた習慣を令和時代にこの活かしたい。

昨今では縁側がある家は少ないですが、自宅のリンビングで日常の一部に日本茶を淹れて自分のゆとりを持つ、友人や家族と団欒する時間を過ごす。令和時代の忙しない時間軸の中でホッと一息つく時間に日本茶という選択肢をつくりたい。
